日本高等教育評価機構だより(日本私立大学協会発行『教育学術新聞』連載)

平成30(2018)年4月25日分掲載

平成29年度の認証評価結果等について

(公財)日本高等教育評価機構(以下「評価機構」という。)は、3月に平成29年度の機関別認証評価結果を公表した。本稿では、受審校の優れた取組み、改善を要する点等の指摘を含めた評価結果の概要から、昨年度の認証評価を振返ってみたい。

79大学・7短大の評価の実施

 平成29年度の認証評価は、79大学・7短期大学を対象として実施された。その結果、大学機関別では、79大学中、75大学が「適合」、3大学が「保留」、1大学が「不適合」となった。また、平成27年度の認証評価で「保留」となっていた5大学に対する再評価の結果、全て「適合」となった。認証評価の結果が「適合」となった75大学のうち、44大学には「改善を要する点」の指摘があり、今後3年以内に改善報告書を大学のホームページに公表し、エビデンスとともに、評価機構への提出を求めた。
 今回「保留」となった3大学については、一部の基準を満たしていないと判断されたが、それらの要因が1年以内に改善することが可能であると大学評価判定委員会が判断したため、判定を保留し、平成31年度に再評価を受けることを求めた。また、1大学が「不適合」となったが、その原因は、一部の基準を満たしていないほか、評価の過程において、一部虚偽の報告があったためである。評価機構では、評価の過程中において、虚偽報告や事実の隠蔽等重大な社会的倫理に反する行為が意図的に行われていると判定委員会が判断した場合、評価結果を「不適合」にすることができると定めている。
 短期大学の機関別では、7短大中、6校が「適合」、1校が「保留」となった。「適合」の6校中「改善を要する点」の指摘があったのは4校で、大学と同様に、今後3年以内に改善報告書を短大のホームページに公表し、エビデンスとともに、評価機構への提出を求めた。
 「保留」となった1校は、一部の基準を満たしていないと判断されたが、それらの要因が1年以内に改善することが可能であると短期大学評価判定委員会が判断したため、判定を保留し、平成31年度に再評価を受けることを求めた。

「優れた点」の多くは教学関係

 評価結果の内容を基準ごとに見てみると、大学と短期大学ともに「優れた点」の指摘件数が最も多かったのは「基準2 学修と教授」であった(別表)。
 「優れた点」は、他校の模範となるような先進的な取組みで、かつ十分な成果を挙げているとして評価されている。教学関係では、「カリキュラムを5つのプログラムに分けて、それぞれの特徴を明記し、学生を主体的な学びに導くよう工夫している」、「一人も取りこぼさない教育という目標のもとに徹底した学修支援を行い、近年は退学者が極めて低い水準にとどまるという成果を挙げている」、「図書館内には、アクティブ・ラーニングに対応したラーニングコモンズ学習室が用意され、24時間利用が可能であり、学生の深夜帰宅に対しても安全対策が講じられていること」など、特に、「教育課程及び教授方法」「学修及び授業の支援」「教育環境の整備」の面で多くの「優れた点」が挙げられた。評価機構のホームページでは、大学及び短期大学の全ての「優れた点」を公表しているので、ぜひ参考にされたい。
 一方、「改善を要する点」については、基準2と3に指摘が多かった。基準2の「学生の受入れ」における定員未充足に関しては、平成28年度同様に最も指摘が多く、評価を受けた大学のうち、31校に「改善を要する点」が付された。「基準3 経営・管理と財務」では、学長のガバナンス機能に関する規則等の整備についての指摘が最も多かった。ガバナンス関連の法令の施行からすでに2年が経過しているが、大学の対応にはまだ課題があると感じた。その他、「財務」における中長期計画の策定や計画に基づく収支のバランスの確保に関する指摘が多くあった。
 平成29年度の評価を総括すると、学長のガバナンス機能の構築、学生数の確保及び安定した財政基盤の確立などが求められる一方、教学面においては、教育課程及び学修支援などにおける工夫や学生のための環境整備などの積極的な取組みが目立った。

第3サイクルがスタート

 平成16年度にスタートした認証評価制度は、平成30年度から第3サイクルに入り、評価機構では、内部質保証を中心とした新評価システムに基づき、昨年7月に申請のあった15大学に対する認証評価の実施を予定している。
 認証評価後のフォローアップの一環としては、「評価機構だより」の1月号にも紹介したように、これまで「改善を要する点」に対する改善報告書等の審査を実施してきた。加えて、多くの受審校から、改善点以外の評価の内容に関する相談や事後確認などの要望があったため、評価機構は平成30年度から、フォローアップの新たな方策として、認証評価を受けた全ての受審校から評価機構への講評や相談等の求めに対応する取組みを始め、支援体制の更なる充実を図ることとした。
(評価事業部長 陸 鐘旻)

別表 基準ごとの指摘事項(数値は件数)